目次
はじめに
大学主催の日本のような一斉筆記試験は、アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダの大学では存在しません。学校の成績や、エッセイ、学力試験SATの結果(年に数回実施)、課外活動の内容で総合的に判断します。
筆記試験はない?アメリカの大学入試事情
海外大学に偏差値はあるの?
偏差値とは、同じテストを受けた集団の中で、自分が平均からどれくらいの学力にいるかを確認するための数値です(参考:進路ナビ「偏差値って何?」)
よく海外の大学には偏差値はないのですか?と言われますが、偏差値は「学力」のみ評価して出される指標なので、学校の成績や、エッセイ、学力試験SATの結果(年に数回実施)、課外活動等複数の内容が全て評価対象の海外大学には「偏差値」という概念が存在しないのです。
- 学校の成績
- エッセイ
- SAT(アメリカの学力テスト)
世界ランキングで大学レベルを確認
しかし、世界ランキングという概念は存在します。
Times Higher Educationが提供するTHE世界大学ランキングやQS社が提供するQS World University Rankings が有名です。
2023年の世界ランキング
Times Higher Education
1位 | University of Oxford (イギリス) |
2位 | Harvard University(アメリカ) |
3位 | University of Cambridge(イギリス) |
QSランキング
1位 | Massachusetts Institute of Technology(アメリカ) |
2位 | 2位 University of Cambridge(イギリス) |
3位 | 3位 Stanford University(アメリカ) |
アカデミック界での評判やビジネス界からの評価、学生数や教員数、留学生の比率などが評価対象になっています。
評価基準
Times Higher Educationでは下記のように述べられています。
以下、引用
「2004年から発表されている世界的な大学のランキングで、世界で最も利用されている大学ランキングと言われています。各大学のデータを「教育力」「研究力」「論文の引用数(研究の影響力)」「国際性」「産業界からの収入」という5分野、13の指標で分析し、それぞれのスコアを算出して順位付けしています。」
ここで気がつくのは、大学のランキングは「学生の優秀さの順位」で付けられているのではないということです。更に毎年世界の大学のランキングは大きく変動します。日本では私立では早稲田大学や慶応大学が不動のTOP校として君臨しますが海外にはその概念が存在しません。出身大学がその人の優秀さの証明にはならないのです。
世界ランキング上位の大学に優秀な学生が集まる理由
世界ランキング上位の大学にはその業界のトップの研究者とトップレベルの資金が集まっています。一時期スタンフォードの年間予算が1兆円を超えるという記事が日経ビジネスに掲載され、話題になりましたね。
大学で身に付けた専門知識が就職に重視されるアメリカでは、莫大な予算の中で集められた優秀な研究者とその研究結果を学びながら自らの専門を磨いていきたいと考える学生が沢山いても不思議ではありません。彼らが目指すのは、やはり最も学びたいことを学ぶのに最適な環境です。だからこそハーバード大学やスタンフォード大学は志願者も多く入学が難しいと考えています。
有名校の入学基準
ずばり、「その学校がほしい学生像に当てはまっているかどうか」によって決まります。
例えば人気校のUCLAではリーダーシップのある人間が求められています。
リーダーシップといっても、私は体育祭のリーダーをやりました!では評価されないわけです。世界トップクラスの学術機関で学び世界のリーダーになる人達を輩出するためには、それに相応しい「知識」「行動力」「テストの得点」「熱意」を持ち合わせてなければなりません。学術的に優秀であることは必要条件ですが、合格のための絶対条件ではありません。
カレッジ編入コース
海外で過ごしていれば大学入学のシステムは身近なものとなりますが、日本の学力偏重の環境ではイメージがつかない、更には課外活動やエッセイで書けるようなことは全く行ってこなかったと感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、高校2年生や高校3年生からでも上位の大学に挑戦したいという方には、2年制カレッジ(コミュニティ・カレッジ)を経由して有名4年制大学への編入を目指す方法が存在します。
編入と聞くと、「入学できる生徒の数が限りなく少なくてマイナーな選択肢なのではないか」という印象を受けるのですが、実際はとてもメジャーで、編入は日本にない文化なだけで一般的な進路となっています。
学校の成績がよくなくとも、4年制大学に行くほどの準備が整っていなくとも可能性を最大化できる進路として、選択することができます。もちろん最初の2年制カレッジで、編入したい大学先の求める人物像になっている必要がありますので必死な努力が必要です。
大学のランキングと就職先
海外の大学を出たあとの就職先として有名大学にいけなかったら大手の就職は諦めたほうがよいでしょうか、という質問がありますがそんなことはありません。
有名な大学出身であることは就職に有利ではあるのですが本質はそこではありません。
各企業が求める人材として知識・思考レベルや人格、意欲が十分かどうかが大切になります。そこで最も重視されるのは成績になります。トップレベルのA大学で成績最下位位よりも、知名度がA大学よりも劣るB大学の主席の方が評価されることもしばしばです。
実際に、アメリカの4年制大学(トップ大学ではない)を卒業した人の中で、東京大学や慶応大学、早稲田大学出身者が多い大手に合格し活躍した人も存在します。
まとめ
大切なのは、大学でどんな熱意をもって、なにを真剣に学んだか、どんな活動をしたかになります。
海外には学力テストだけで決める入学方式がないからこそ、あなたの性格や夢にあった大学を見つけ、そこで一生懸命学ぶと評価される道が待っています。複雑に見える入試方式も大学にフィットする人を探すための方法だと考えると理にかなっているといえるでしょう。