海外大学卒業生の就職の選択肢

はじめに

近年、日本の就職市場は急速なグローバル化の波によって大きな変革を迎えています。

従来の日本企業の採用プロセスにおいても、国際的な視野や多様な経験が求められるようになり、学生や若手社会人たちも新たなキャリアの可能性を模索しています。

特に、海外進学をした生徒はその後の日本または、海外での就職を心配する方は少なくないと思います。

そこで、この記事では、海外進学者の就職状況や、就職先、新たなキャリアの選択肢やスキルの必要性、そして日本が抱える課題と可能性に焦点を当てつつ、海外進学がどのように就職に有利に働いていくのかを考察します。

海外大学から日本での就職

近年、日本の就業環境は多様性と国際性が増しており、特に外資系企業におけるキャリアパスが注目されています。調査によれば、外資系企業での勤務が選ばれる傾向が増しており、その割合は約25%に達しています。

一方で、国内大学を卒業した者の中で外資系企業での就業を選ぶ割合は2.1%にとどまっています。この差異は、国際的な視野を持つ人材への需要が高まっていることを示唆しています。

また、経営者や管理職としてのポジションにおいても外資系企業が注目を集めています。経営者および管理職の中で外資系企業での勤務者は約33%を占めていますが、国内大学を卒業した者の中でその比率は約17%に留まっています。

この結果から、外資系企業がリーダーシップの機会を提供し、グローバルなビジネススキルを磨く場として評価されていることが窺えます。

参考サイト→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jies/22/0/22_83/_pdf/-char/ja

就職希望企業ランキング

就職希望企業のランキングにおいても外資系企業の存在感が顕著です。

今年のランキングでは、Deloitte Touche Tohmatsuが総合1位に輝き、2位にはPwCが続きました。例年、留学生にとって人気の高い外資系コンサルティングファームが1位と2位を独占しました。さらに、TOP20においてもコンサルティングファームが7社ランクインし、その地位を固めています。

参考サイト→https://careerforum.net/ja/contents/ranking

海外大学卒業生の年収

給与に関しても、外資系企業での経験が大きな差を生むことが示されています。

海外の大学を卒業した30代の平均年収は539.7万円に対し、日本の大学を卒業した30代の平均年収は389.3万円となっており、その差は約1.39倍に達しています。

また、50代以上の層においても、海外大学卒者の平均年収が653.6万円に対し、国内大学卒者は608.3万円と、約1.07倍の差が見受けられます。この結果から、外資系企業でのキャリアが長期的な給与水準にも影響を及ぼしていることが明らかになります。

更に、生涯年収においても外資系企業での経験が大きな差を生むことが示されており、その差は4000万円から1億円にも及ぶことがあります。この数字は、外資系企業でのキャリアが個人の経済的な未来に与える重要性を浮き彫りにしています。

海外大学卒業の有利な点

分析の結果、学歴や留学経験はキャリアに大きな影響を及ぼすことが明らかになりました。

留学経験者は、年収の水準が高いだけでなく、留学経験がキャリアの向上に寄与していると実感している人の割合も高いことが確認されました。留学経験が獲得した人的資本を通じて、金銭的な利益を享受していることが示唆されています。これは、グローバルな視野を持ち、国際的な経験を積むことが、現代のキャリアにおいてますます重要な要素となっていることを示しています。

海外進学中の就職活動

日本人留学生にとって、海外で開催されるキャリアフォーラムは、重要な就職活動の場として位置づけられています。これらのフォーラムは、留学生にとって貴重な機会であり、将来のキャリアを築くためのステップとして注目されています。

知名度の高いキャリアフォーラムには、ボストンキャリアフォーラム、ロサンゼルスキャリアフォーラム、ロンドンキャリアフォーラムなどがあります。

これらのフォーラムは、ボストン、ロサンゼルス、ロンドンなど、留学人気の高い大都市で開催されています。これにより、留学生は現地で様々な業界や企業と交流し、自身のキャリアを展望するチャンスを得ることができます。

これらの大都市には、日本の大手企業が広告やプレゼンスを展開しており、キャリアフォーラムへの参加も行っています。ただし、注意が必要なのは、CFNキャリアフォーラムへの参加資格です。以下の条件に当てはまる方が参加できる形式となっています。

  • 海外の大学・大学院を卒業予定または既に卒業した方
  • 日本の大学に在籍し、交換留学中の方
  • 現在働いている職務経験を持つ方

海外での就職活動の形式

これらのフォーラムでは、ウォークイン形式の会社説明会から始まり、レジュメの書き方やケーススタディを扱ったワークショップ、キャリアプロフェッショナルによる個別指導、対策セミナーなどが行われます。

これらのサービスは、留学生にとって貴重な情報提供源であり、就活の準備やスキル向上に役立つものばかりです。また、海外でキャリアフォーラムに参加する日本企業の多くは、海外進出やグローバル展開を計画しており、国際的な視野を持つ優秀な人材を求めています。

そのため、留学生が持つ日本語能力とグローバルな視野、異文化対応能力が評価され、内定を得るチャンスが高まります。キャリアフォーラムが直接的な内定につながらなくても、日系企業とのコネクションを築くことで将来的なチャンスを広げることも可能です。

留学生の就職活動において、キャリアフォーラムへの積極的な参加は大きな戦略となるでしょう。

海外大学から現地就職

エンジニア、看護師、保育士、飲食店、事務、そしてツアーガイド(観光業)といった異なる職種への就職が考えられます。各職種におけるキャリア選択には異なる魅力と難しさがあることでしょう。

しかし、実際に留学後に現地での就職を果たす割合はまだ低いのが現実です。

JASSO(日本学生支援機構)が行った調査によれば、日本人留学生の中で現地就職した学生の割合はわずか6%にとどまっています。2011年の調査ではその数値は5.8%であり、増加傾向にはあるものの、まだまだ現地就職の壁は高いと言えるでしょう。

特にビザの問題は大きな障壁となっています。アメリカを例に取ると、トランプ前大統領政権発足以降、外国人の就労ビザ基準が厳しくなったことが影響しています。このため、多くの学生が最初から現地就職を諦めるケースも多いようです。

しかし、希望を捨てることはありません。海外でのインターンシップがその一つの解決策として挙げられます。海外大学卒業生は一年間のインターンシップを通じてスキルを磨き、現地就職への道を切り開くことができます。

特にSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)分野の学生は、3年間の就労ビザの取得が可能であり、この期間を活用してスキルの向上と職業選択の準備を進めることができます。

現地就職の給料

年収についても、海外での就業においては職業によって大きな差があります。プログラマーや看護師、会計士などの専門知識が必要な職種では、年収が高くなる傾向があります。

例えば、オーストラリアのソフトウェアエンジニアの年収は約750万円以上、財務会計士は約700万円以上となっています。特別なスキルや専門性が求められる職業ほど、海外就職でも高収入を得られる可能性が高まると言えます。これらの職種においては、専門性を高めることが現地でのキャリア形成において重要な要素となります。

まとめ

海外大学進学者は今後の就職の選択肢を広げます。

特に外資系企業への就職が注目を浴びています。外資系企業での勤務は、英語力を使えるだけでなく、留学経験は年収の向上、キャリアの向上にも寄与しており、海外大学進学者は日本での就職は外資系企業を希望する方が多いのが現実です。

さらに、国内大学卒業生に比べて、留学経験や語学力により年収も平均的に高いのも事実です。そこで、キャリアフォーラムなどの場も活用して異業種や企業とのコネクションを築くことが大切です。

一方で、海外での現地就職にはビザの問題や難しさが伴いますが、希望を捨てることはありません。インターンシップを通じてスキルを磨くことや、専門性の高い職種への挑戦が成功への鍵となるります。留学生にとって、海外での進路選びは個々の適性や目標に応じた戦略的な計画が必要となりますが、不可能では全くありません。

以上の情報を参考に海外大学進学後の就職について考えてみてはいかがでしょうか?